「最低賃金が上がるらしいけれど、自分の給料も上がるのだろうか?」
「物価は上がっているのに、会社の給料はなかなか増えない…」
そんな疑問や不安を感じている会社員の方もいるのではないでしょうか。
2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円となる改定額が答申されました。
2025年度の1,121円から56円の引き上げです。
都道府県ごとに改定額や発効日が異なり、2026年10月から12月にかけて順次適用される予定です。
ただし、最低賃金が上がったからといって、すべての会社員の給料が自動的に上がるわけではありません。
最低賃金を下回る賃金で働いている人は、原則として新しい最低賃金以上の賃金を受け取れるようにする必要があります。
一方、すでに最低賃金を十分に上回る給料を受け取っている人は、最低賃金の引き上げだけを理由に昇給するとは限りません。
この記事では、2026年の最低賃金の変更点や都道府県別の確認方法、月給制の会社員が自分の給料をチェックする方法、給料が上がらない場合の相談先を解説します。
自分の給料が適切に支払われているかを確認し、今後の収入アップについて考えるきっかけにしてください。
2026年の最低賃金はいくら?全国平均と変更点

まずは、2026年度の最低賃金がどのように変わるのかを確認しましょう。
全国加重平均は1,177円に引き上げ
厚生労働省が公表した2026年度の地域別最低賃金の答申状況によると、全国加重平均は1,177円です。
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|---|
| 全国加重平均 | 1,121円 | 1,177円 |
| 引き上げ額 | — | 56円 |
全国加重平均とは、各都道府県の最低賃金を単純に平均した数字ではなく、労働者数などを考慮して算出した平均額です。
そのため、全国の会社員に一律で1,177円が適用されるわけではありません。
実際に適用される最低賃金は、原則として働いている事業場の所在地に対応する地域別最低賃金です。
さらに、特定の産業では、地域別最低賃金より高い特定最低賃金が適用される場合もあります。
「最低賃金が1,177円になった」というニュースを見たら、まずは自分が働く都道府県の金額を確認しましょう。
いつから新しい最低賃金が適用される?
2026年度の改定額は、都道府県ごとに発効日が異なります。
厚生労働省の答申状況では、東京都や愛知県などは10月1日、岐阜県は10月1日、青森県は10月29日、山梨県は11月1日、京都府は11月16日、岩手県は12月1日など、順次発効する予定となっています。
ただし、資料に記載された発効日は予定日であり、手続きなどによって変更される可能性があります。
勤務先の所在地については、最新の公示情報も確認してください。
確認先: 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」
最低賃金の改定時期が来ても、すべての会社で同じ日に給与が変わるわけではありません。
給与明細を確認する際は、適用される最低賃金の発効日と、給与計算の対象期間を照らし合わせることが大切です。
最低賃金が上がると会社員の給料も上がる?

結論からいうと、最低賃金の引き上げによって給料を上げる必要がある人と、必ずしも昇給しない人がいます。
最低賃金は、労働者に支払われる賃金の最低限度を定める制度です。
会社は、適用される最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
一方、最低賃金を超える給与を受け取っている人について、最低賃金の引き上げと同じ金額だけ給与を増やす義務が一律に生じるわけではありません。
給料が上がる可能性が高い人
例えば、時給1,050円で働いていて、勤務先の新しい最低賃金が1,100円になったとします。
この場合、通常の最低賃金が適用される労働者であれば、会社は最低賃金の発効日以降、原則として時給1,100円以上を支払う必要があります。
時給1,050円のままでは、新しい最低賃金を下回るためです。
このように、現在の賃金が新しい最低賃金を下回る場合は、最低賃金以上になるように賃金を改定しなければなりません。
すでに最低賃金を上回っている人は?
一方、時給1,300円で働いている人の勤務先で、最低賃金が1,100円から1,150円に上がったとします。
この人の時給は、改定後も最低賃金を上回っています。
そのため、最低賃金の引き上げだけを理由に時給を1,350円にする義務が生じるわけではありません。
月給制の会社員も同様です。
最低賃金を十分に上回る賃金を受け取っている場合、最低賃金の引き上げがそのまま昇給につながるとは限りません。
つまり、最低賃金の引き上げは、すべての労働者の給与を同じ割合で増やす仕組みではなく、賃金の最低ラインを引き上げる制度なのです。
月給制の会社員も最低賃金の対象になる?

「最低賃金はアルバイトやパートのための制度」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、地域別最低賃金は、雇用形態や呼び方にかかわらず、原則として都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。
正社員や契約社員、パート、アルバイトなども対象です。
月給制の会社員も例外ではありません。
ただし、最低賃金の計算では、給与明細に記載された総支給額をそのまま使うわけではありません。
最低賃金の計算から除外される手当がある
最低賃金と比較する際は、毎月支払われる基本的な賃金をもとに計算します。
厚生労働省によると、次のような賃金は最低賃金の計算対象から除外されます。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外労働に対する割増賃金
- 休日労働に対する割増賃金
- 深夜労働に対する割増賃金の一部
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
例えば、毎月の給与が25万円でも、その全額が最低賃金の計算対象になるとは限りません。
基本給や対象となる手当を確認し、除外される賃金を差し引いて計算する必要があります。
また、月給制の会社員は、対象となる賃金を月平均の所定労働時間で割り、時間額に換算して比較します。
月給制の最低賃金を計算する方法
基本的な計算方法は次のとおりです。
最低賃金の比較に使う時間額=最低賃金の対象となる月給÷1か月平均の所定労働時間
例えば、最低賃金の計算対象となる月給が18万円、1か月平均の所定労働時間が160時間の場合は、次のようになります。
180,000円 ÷ 160時間 = 1,125円
この場合、比較対象となる時間額は1,125円です。
仮に、勤務先の所在地で適用される最低賃金が1,121円なら、この計算例では最低賃金を上回っています。
一方、対象となる月給が17万8,000円で、所定労働時間が160時間なら、時間額は1,112.5円です。
最低賃金が1,121円であれば、基準を下回る計算になります。
ただし、これは計算方法を説明するための例です。
実際の判断では、賃金の内訳や所定労働時間、適用される最低賃金額を正確に確認する必要があります。
自分で計算するのが難しい場合は、厚生労働省の最低賃金に関する案内を確認するか、都道府県労働局や労働基準監督署に相談しましょう。
自分の都道府県の最低賃金を確認する方法

最低賃金は都道府県によって異なります。
まずは、自分の勤務先に適用される最低賃金を確認しましょう。
厚生労働省の公式資料で確認する
最も確実なのは、厚生労働省の公式資料を確認する方法です。
2026年度の地域別最低賃金については、次の資料に都道府県ごとの改定額と発効予定日が掲載されています。
資料から、自分の勤務先がある都道府県の行を探してください。
例えば、2026年度の答申状況では、次のようになっています。
| 都道府県 | 2026年度の答申額 | 発効予定日 |
|---|---|---|
| 東京都 | 1,280円 | 10月1日 |
| 愛知県 | 1,195円 | 10月1日 |
| 岐阜県 | 1,121円 | 10月1日 |
| 青森県 | 1,090円 | 10月29日 |
| 京都府 | 1,180円 | 11月16日 |
| 岩手県 | 1,090円 | 12月1日 |
※上記は厚生労働省の答申状況に記載された改定額と発効予定日です。
実際に適用される金額や発効日は、最新の公示情報を確認してください。
また、地域別最低賃金に加えて、特定の産業で働く人には、より高い特定最低賃金が適用される場合があります。該当する可能性がある場合は、そちらも確認しましょう。
勤務先の所在地を基準に確認する
最低賃金を確認する際は、原則として自分が働いている事業場の所在地を基準にします。
例えば、住んでいる都道府県と勤務先の都道府県が異なる場合は、勤務先の所在地に適用される最低賃金を確認してください。
派遣労働者については、派遣先の最低賃金が適用されます。
自分の勤務先がどの地域の最低賃金に該当するのか分からない場合は、会社の人事・総務担当者や、都道府県労働局に確認するとよいでしょう。
最低賃金が上がったのに給料が上がらない場合は?

最低賃金が改定されても、給与明細に変化が見られないことはあります。
ただし、それだけで違法だと判断することはできません。
すでに最低賃金を上回っている場合は、最低賃金の改定だけを理由に昇給する義務がないためです。
一方で、最低賃金の発効日以降に、計算対象となる賃金が最低賃金を下回っている場合は、確認が必要です。
まずは給与明細と労働条件を確認する
給料が上がらないと感じたら、次の点を確認しましょう。
- 勤務先の所在地に適用される最低賃金はいくらか
- 新しい最低賃金の発効日はいつか
- 給与明細の基本給や各種手当の内訳
- 月給制の場合は、1か月平均の所定労働時間
- 最低賃金の計算対象から除外される手当が含まれていないか
給与の締め日や支払日によっては、改定後の最低賃金が給与明細に反映される時期が分かりにくいこともあります。
まずは適用日と給与計算の対象期間を確認し、不明な点があれば会社の人事・総務担当者に問い合わせましょう。
会社に相談しても解決しない場合は?
会社に確認しても納得できない場合や、最低賃金を下回っている可能性がある場合は、都道府県労働局や労働基準監督署に相談できます。
最低賃金の制度や計算方法については、厚生労働省の公式サイトでも確認できます。
最低賃金を下回る賃金で労働者を働かせることは、原則として認められていません。
自分の計算だけでは判断が難しい場合もあるため、給与明細や雇用契約書、勤務時間の記録などを用意し、専門の窓口に相談するとよいでしょう。
給料が上がらない会社員は、収入アップの方法も考えよう

最低賃金の引き上げによって、すべての会社員の給料が増えるわけではありません。
最低賃金を十分に上回る給与を受け取っている人にとっては、最低賃金の改定だけでは、生活に余裕が生まれないこともあります。
物価が上がっているのに給料がほとんど変わらなければ、貯金を増やすことも難しくなります。
そのような場合は、最低賃金の改定を確認するだけでなく、自分の収入を増やすために何ができるかを考えてみることも大切です。
本業の昇給や転職を検討する
まず考えられるのは、本業での昇給や転職です。
現在の会社で昇給の見込みがあるか、評価制度が明確か、身につけたスキルが給与に反映されるかを確認してみましょう。
会社によっては、資格取得や担当業務の拡大によって昇給を目指せる場合もあります。
一方で、長期間働いても給与がほとんど上がらず、今後も改善が見込めないのであれば、転職によって待遇を見直すことも選択肢になります。
ただし、転職は給与だけで決めるのではなく、仕事内容や労働時間、福利厚生、将来のキャリアなども含めて検討しましょう。
副業で収入源を増やす方法もある
本業の収入だけでは家計に余裕が生まれない場合、副業によって収入源を増やす方法もあります。
例えば、Webライティングやブログ運営など、会社員として働きながら取り組める副業があります。
ただし、副業は始めれば必ず稼げるものではありません。
収益が発生するまで時間がかかる場合もありますし、仕事によっては初期費用や学習時間も必要です。
そのため、生活費を確保したうえで、無理なく継続できる方法を選ぶことが重要です。
会社員が副業を始める際は、就業規則や労働時間、初期費用なども確認し、自分に合った方法を探してみましょう。
会社以外の収入源を持つことについては、こちらの記事でも紹介しています。
関連記事: 「会社辞めたい」が口癖だった会社員が、副業で手に入れた精神的余裕
まとめ:最低賃金の引き上げを、自分の収入を見直すきっかけにしよう

2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円となる改定額が答申されました。
2025年度の1,121円から56円の引き上げです。
ただし、都道府県によって最低賃金額や発効日が異なります。
また、最低賃金の引き上げによって、すべての会社員の給料が自動的に増えるわけではありません。
今回のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 2026年度の最低賃金の全国加重平均は1,177円
- 実際に適用される金額は都道府県などによって異なる
- 正社員や月給制の会社員も、原則として最低賃金の対象になる
- 月給制の場合は、対象となる賃金を所定労働時間で割って確認する
- 最低賃金を下回っている可能性がある場合は、会社や労働局などに相談する
- 最低賃金を上回る給与を受け取っている人は、昇給や転職、副業なども含めて収入アップを考える
まずは、自分の勤務先に適用される最低賃金と、給与明細を確認してみてください。
そして、最低賃金を確認するだけでなく、今後の生活に必要な収入を確保するために何ができるかも考えてみましょう。
本業の昇給や転職、副業など、選択肢を知っておくことは、将来のお金の不安を減らすための第一歩になります。
参考資料
※最低賃金の金額や発効日は変更される場合があります。公開時には最新の公式情報をご確認ください。
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